ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、私の祖母は台湾生まれの台湾育ちで、祖父母が知り合って結婚したのも台湾でした。そのことは、昔から知っていましたが、詳しい話を聞いたことはありませんでした。私が台湾に興味を持つようになったこととも直接に関係が無く、むしろ台湾に興味を持つようになったので、「そういえばーちゃんは台湾生まれだっけ・・・」と思い出したようなものだったのです。
数年前、台湾時代の写真を見せてくれました。60年以上の時間が経過したその数葉の写真には女学生だった祖母が写っていました。屏東女学校の卒業写真や修学旅行で阿里山や台北に行った写真がありました。
太平洋戦争中、祖父母は中国大陸にいて、戦後引き上げてきたそうです。祖母はそういう昔の苦労話はしたがらないので、きいたことはありませんが、引き上げの混乱の中、大切に持って帰ってきたのだろうなと思います。
祖母は今年85歳です。20歳のころ台湾を離れ、それから2度と帰っていないそうです。私は、熊本に帰る度に
「ばーちゃん、台湾に行きたくないと?あたしが連れて行くよ」
といってみるのですが、
「テレビで見るばってん、台湾はもう変ってしまったもん。行ってもしょうなか。」
と、もう台湾に行く気はないようです。本当のところは分りませんが。
最近、「私も、台湾にももう15回も行ってるのだから、一度くらいばーちゃんの住んでいたところを尋ねてみよう。」と思い立ちました。それで、去年10月に帰省した時に、どのあたりに住んでいたのかとか、祖母の両親の名前は何と言うのかとか、家の周りはどうだったのかなど、具体的なことを聞きました。
その情報をもとに、この年末年始の旅行中に、その場所を探してみることにしました。70年も経っているので、そのころのものなどは全く残ってはいないでしょうけれど、それでもあたりの写真を撮って、祖母に見せてあげたいなと思ったのです。
というわけで、この旅行記の後半は、かなり個人的な思い入れによる「70年前のばーちゃんゆかりの地を訪ねて」です。