私奔(1991年)


最後一盞燈

秋風の吹く冷たい夜の中
君と別れた場所をいつもさまよう
向こうから来る人が君なのか確かめよう
今でも泣いているのか尋ねるために

電話に向かい自分の気持ちを説明したい
どんなに想っているかを告げて
そっと優しく君を僕の方に抱き寄せる
そして明日は一日一緒にいようと

人影もない冷たい夜の中
最後の燈火を探し求めて
その門の扉がひっそりと開けば
夜明けまでずっと君を抱き締める

電話の中には静かに泣く声がして
君は僕を待てないと言う
街燈が涙で滲んでしまった街角に立ち
僕はもうまるで自分ではないようだ

今までいつも君を待っていた
今さら自分を変えられない
恐らく君は一人では生きて行けないだろう
誰かを愛してしまうことは 間違いない

秋風の吹く冷たい夜の中
君と別れた場所をいつもさまよう
君の門の鍵は取り替えられてしまったかと
僕はもうまるで自分ではないようだ

人影もない冷たい夜の中
最後の燈火を探し求めて
その門がひっそりと閉ざされていれば
夜明けまでずっと泣き続けるだろう

電話の中には静かに泣く声がして
君は僕を待てないと言う
もう一度会ってくれないかと尋ねよう
君は僕の最後の燈火なのだから

日本語訳:VIVIEN LIU


無神論者的悲歌

果てしない無神街道をひとり行く
罪を犯す欲望にかられたがゆえに
どれだけ悔い改めてきただろう

かって自己を見失ったと思い
全ての神が忘れ去った場所にいた
ためらう足を何とか励まし
夜空に最後の星光を探し出そう

目的などない歩みをひとり進める
罪を犯す欲望にかられたがゆえに
意外にも興奮を覚えてしまった

かって自己を見失ったと思い
全ての神が忘れ去った時を過ごした
不可思議な幻想を肯うわけにはゆかないが
こんなになすすべのない悲しみも抱いている

すぐに変ってしまう僕の心
しかし行く道は自分で決めなければならない
すぐに変ってしまう僕の顔
どちらにしても気にする人などいはしない
真実の僕を 真実の僕を

信仰のない都市をひとり行く
罪を犯そうと考えたがゆえに
どれだけ悔い改めてきだろう

かって嘘偽りのない信仰を抱いたために
全ての神が忘れ去った場所にいた
ためらう足を何とか励まし
人の世の最後の信仰を探し出そう

 

日本語訳:VIVIEN LIU


新樂園

昨日の夜僕は夢を見た 硬い甲羅を被った自分が
テーブルの端までよたよた進み 世界の果てと思い込む
一晩中カラオケで歌い 何度乾杯したかも忘れてしまった
女の子はみんな僕が好き 僕はオシャレな歌手なのさ

冷蔵庫の気の抜けたビールに つまみは残り物の枝豆
青いシャツでカッコよく決め 自分の主張も忘れずに
路地の出口に陣取るあの犬は 最近僕には知らん顔
発条を巻かれた人形のように 僕は潮の流れに逆らえない

立派な生活の道理について 一体君に何が分かるというのか
僕には僕の論理がある 何と言われようと気にするものか
今日の気分は素晴らしいから 海辺をドライブすることに決め
僕の青いジープを走らせる 世界のことなんて放っておこう

ひとりぼっちで孤独な夜は 明日を思い煩うこともある
僕がよい国民でないといえるかい 友達もみな変じゃないか

バナナパラダイスにある小国の 硬い甲羅を被った国民が
人の群れによたよた流され 世界の果てにたどり着く

 

日本語訳:VIVIEN LIU


少年夏不安

こんなに暗い空 こんなに強い風
父ちゃんは漁に出たまま なぜ帰って来ないの
少年夏不安 鞄を背に遠くを見ている
聞きなれた汽笛が響くのを待ちながら
ひとりぼっちで涙をこらえている
少年夏不安 家は南部の七美港
一日また一日と待っている あの屈強な双肩を
彼は尋ねる こんなに暗い空 こんなに強い風
父ちゃんは漁に出たまま なぜ帰って来ないの
母が答える 船は遥かな遠い場所まで行ったんだ
そこは風もなく 恐ろしい暗闇だってなくて
取り尽くせないほど魚や海老がいるはずさ
戻って来れば私に代わって
同級生の誰もが持ってる新しい鞄を買ってくださる
なぜそんなに遠い場所があるのか分からないまま
どんなに待っていても まだ帰らない
まだ帰らない まだ帰らない
温暖な七美港

こんなに暗い空 こんなに強い風 父ちゃんは漁に出た
こんなに暗い空 こんなに強い風 父ちゃんは漁に出た
少年夏不安

 

日本語訳:VIVIEN LIU


我喜歡私奔和我自己

夜誰かを誘って酒を飲みに行こうと
人気のない街角をぼんやりと歩いていた時
ふとロマンティックな思い出に囚われてしまった
君は伝統的な人間として生きることを望まず
足の向くまま彷徨ったあげく
夜明けに 待ち望んでいたバスに飛び乗った

勇敢に全世界の要求を拒絶し
今夜はしばらく歩みを停めてもいいだろうか
門には鍵をかけ 互いを熱愛する感覚も締め出そう
明日もまた新しい友達と出会い
聞かれることになる 次は何をするつもりなのかと
僕は答えよう
自分自身と駆け落ちしたいと

駆け落ちしたい 自分自身と 理由なんていらない
駆け落ちしたい 自分自身と
中国を忘れ 台北を忘れ
明日どこで足を停めるのかも忘れてしまおう
ただ自分の名前がついた運動靴を履けばよいのだ
すでにお馴染みの気違いじみた感覚を待つことはない
世界の終わりが来るという日を待つこともない

夜たまたま友達に電話をかけていた時
互いの寂しさを分かち合えるのは誰か分からなくなり
気にする人もいないある片隅に身を隠した
僕は今までやったことのないことをしたい
自分自身でさえ訝しく思うことをしたい
今度こそ僕は 駆け落ちしようと決めた
自分自身と

歓びや悲しみから遠く離れ
まるで華麗な衣装を脱ぎ捨てたようだ
中華航空が君をどこへでも連れて行ってくれる
中国以外のどこか 君は考えなくてもいい

 

日本語訳:VIVIEN LIU


如風的少年

1958年統一試験の終わったあの日 ジミーがバイクで会いに来た
色褪せたカーキ色の長ズボンで 顔にははにかんだ笑みを浮かべていた
僕たち二人は鳳凰樹の陰に身を隠し 比べるものがないほど青い空を眺め
こっそり煙草を吸う練習をしたけど 話らしい話は一つもしなかった
日が西に傾くまで遊びほうけて 弟がご飯だから帰ろうと呼びに来た時
彼はやっと口を開いた
ごめん 、あの子供っぽいたわいのない夢を 一緒に叶えることはできなくなった

Don't cry Jimmy Jimmy Don't cry Don't cry Jimmy Jimmy Don't cry
Don't cry Jimmy Jimmy Don't cry 僕たちは風のような少年だった

1958年北風の吹き始めたあの日 僕は北に向かう汽車に乗った
彼は緑色の軍用ジャケットを着て ホームに立ち僕に別れを告げた
自分で稼いだ四輪車で会いに帰った 最後の記憶の中の彼は僕に言った
誇らしげに北風に向かって狂ったように叫ぶ
そうして別れを告げた風のような少年の生活
お互いに分かっていたんだ 誰もが自分の道を行かねばならない
過ぎ去った日々を悲しんでいる時間などないと
勇敢に手を振り別れを告げ 美しい記憶を心に止めるように努力しよう

Don't cry Jimmy Jimmy Don't cry Don't cry Jimmy Jimmy Don't cry
Don't cry Jimmy Jimmy Don't cry 風のような少年

風のように意地っ張りの少年は とてつもなく偉大な夢を抱いていた
だけど今はただ風の吹き始める夜 あのはにかんだ顔を思い出すだけ

Don't cry Jimmy Jimmy Don't cry Don't cry Jimmy Jimmy Don't cry
風のような少年

OH 風のような少年 結局失ったものは何だったのか
分からないのは僕がジミーのために悲しんだのか
sibengそれともジミーが僕のために悲しんだのかということだ

OH 風のような少年

日本語訳:VIVIEN LIU


午后的蝉声

おばあちゃんが飛んで来て ぼくを抱きとめ言った
坊やそんなことしちゃだめ あなたは僕を見ている

秋の蝉はただ七日間生きられるだけ
生命はあっと言う間に生まれて消える
だから空を自由に飛ばせておやり
善良な心は 蝉にだって分かるはず

西瓜の皮と鼻汁を お供に連れて
今頃夢に現れた子供時代 まるで昨日のことのよう

おばあちゃんは籐椅子に腰をおろして
僕を見ている そばには僕の子供がいて
今にも梢の蝉の声を捜しに行くだろう
あの年のことを 祖母ははっきり覚えてはいない

生命はまるで透明な歌のようだ
そっと優しく歌い繰り返すことはない
おばあちゃんが夢の中で笑っている
自分の子供時代に戻っているんだ
子供が僕に尋ねる 生命って何と
ひとつの歌のようだね 我が子よ

ほら
秋の蝉は七日間しか生きられない
なのにあんなに歌っているよ
さあ僕らも歌を歌おう!

日本語訳:VIVIEN LIU


老die的故事

エレベーターの出口にいるお爺さんは 輝かしい昔に生きている
徐蚌の会戦でびっこになった足をかばいながら

子供たちは理解できずに おしゃべりのお爺さんを嫌っている
今の若い者はと彼は言う 自分たちとは大違いだ

わしがあんたのような年の頃には 
南から北へもう何回も行き来していたものだ

なあ いつかわしの物語を最後まで聞きにこないか
どうだい どうだい

 

入り口を掃除するお爺さんは 酒瓶をつつきながら昔を想っている
永遠にうまくならない「台湾語」を使いながら
ねえ あんた「飯は食ったかい」
ひまならおしゃべりにつきあってくれよ
口を開けて 目には涙を浮かべて僕に言う

以前のわしは兵隊を指揮して勇ましいものだった
雑巾がけの英雄だなんて思わないでくれよ

なあ いつかわしの物語を最後まで聞きにこないか
どうだい どうだい

 

OH わしは歳月をむだにして時機をを逃してしまった

なあ いつかわしの物語を最後まで聞きにこないか
どうだい どうだい

日本語訳:VIVIEN LIU

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